『オー・チン・チン』 ハニー・ナイツ/フール・サンズ

『雑木林に月が出る』 小林 修/フール・サンズ

20010926


ジャケ
ジャケは亜土タン画


『オー・チン・チン』
B面:『雑木林に月が出る』
歌:ハニー・ナイツ/フール・サンズ(『オー・チン・チン』)   小林 修/フール・サンズ(『雑木林に月が出る』)
作詞:里吉しげみ
作曲:小林亜星
日本コロムビア
CD-28
1969年6月
 A面『オー・チン・チン』は、愛らしい童謡風の楽曲。「子供の頃の雪の朝、白く積もった庭に出て、チンチンつまんでオシッコで、雪に名前を書いたっけ」といったノスタルジーあふれる情景を歌いつつ、「オーチンチン、オーチンチン、あのチンポコよ何処行った」と締める。チンポコを探してどうするんだと思うが、ここではおちんちんは「少年の日の想い出」の象徴なのだろう。
 歌っている「ハニー・ナイツ」は、子供番組のテーマソングでよく知られるコーラスグループ。あの『妖怪人間ベム』のテーマをはじめ、『ウルトラマンA』や『スペクトルマン』『シルバー仮面』、さらには『ゴジラ対ヘドラ』のトラウマソング『かえせ! 太陽を』のバックコーラスなどを担当している。こうやって書き出してみるとめちゃくちゃ濃いが。

 それはそれとして、ワタシが個人的に激しく気になったのは実はB面『雑木林に月が出る』である。  これは歌詞カードを見ると、「裏山の雑木林に出る月を見ながらカップルが愛を語る」というロマンティックな(かつ他愛のない)ラブソングのようなのだが、実際に聞いてみると、曲の冒頭に歌詞カードにはないヴァースが入っている。それは以下のようなものだ。

彼女は俺のことなんか覚えてやしないよ
彼女が12、3で
オレは18の高校三年生の秋のことだった
俺たちのアレはセックスの遊戯じゃなかったんだな
無邪気な女の子の大人への不信と
未来の夢を追いすぎていたセンチメンタルな青年とのロマンチックな
そう、ひな祭りの儀式のようなものだった

 さらに、3番まである歌詞のうちの2番だけがレコードでは歌われず、その箇所にはいかにも取ってつけたような調子っぱずれの音が乗せられている。ついでだからその2番の歌詞も載せておこう。

砂浜の そぞろ歩きに
星がゆれる 青い星
君とボク 君とボク
求めあう 求めあう
夏の海辺の 夜だよ

 歌詞カードに書かれていないヴァースと、歌詞カードに書かれているにもかかわらず歌われなかった歌詞。なんかもう不気味なほどあやしいのだが、浅学にして筆者にはこの歌の裏に潜む(であろう)エピソードを知らない。もしご存知の方がいたら当学会までお教え願いたい。
 ちなみに、この曲を歌う小林修は、同姓同名の他人でなければ洋画吹き替えなどで今も活躍している声優(かなり「ええ声」系)である。声を聞く限り、おそらく同一人物だろう。(ふじー)


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