![]() 表紙 『夫婦生活』 昭和28年9月号 夫婦生活社 ![]() 「ヨーグルト避妊法」トビラ(イラストは本文とあんまり関係ありません) ![]() 「ひるは栄養、よるは産制」だそうです。 |
ヨーグルトの効用は今では誰もが知るところである。その知識が本格的に世間に広まったのは、やはり1973年の「明治ブルガリアヨーグルト」発売以降のことであろう。だがそれに先立つ昭和28年(1953年)に、ヨーグルトの注目すべき、しかも今でもあまり知られていない効果について述べた文献がある。それが今ワタシの手元にある雑誌『夫婦生活』9月号だ。以下に、当該記事を引用してみよう。(以下、一部かなづかい、漢字表記は現代的表記に修正) 『避妊と性感増進に素晴らしい威力をもつヨーグルト』 最近、わが国でも、栄養価が高いというところからヨーグルトが一般家庭で賞用されるようになった。だが、そのヨーグルトが、避妊に役立ち、しかも性感を増進するというのであれば、これほど手近で、安価で、一石二鳥の避妊法はあるまい。では、ヨーグルトでどういう風に避妊を行うか? 記事は続いて、ある体験談を紹介する。 私の知人の奥さんで、今年二十七歳の夫人がある。健康にめぐまれているためか、妊娠率がきわめて高く今まで一年に三、四回は婦人科医の手をわずらわして人工中絶をした。(中略) この夫婦は協同して、あらゆる避妊法を講じている。(中略)それでも年に何回かは妊娠するのである。 ところが、去年から私が示唆した方法に従ってからというものは、ピッタリと妊娠することがなくなったといって大喜びである。この方法というのは、フランスの医学書で読んだ乳酸菌で精子の活動をとめてしまう方法である。(中略) すでにお気づきかと思うが、この避妊法とは、つまりヨーグルトを直接膣の中に挿入するというものなのである。引用では省略したが、この夫婦が試した避妊法にはコンドームも含まれているのだ。コンドームより避妊率高いのか、ヨーグルト。 (前略)それならばといって、毎日とっているヨーグルトを小匙で一杯ぐらい試みに用いてみたのである。ヨーグルトの中の乳酸菌は確かに精子の活動をふせぐ結果が知れた。第一に、それは一種の潤滑油的な役目をして具合がよい。それを事後スポイトの洗浄器で洗い流してしまえば、いささかの不快感もない。(後略) このあと、記事では高木三郎なる医学博士が、この「ヨーグルト避妊法」の有用性を専門的見地から支持する文書を寄せている。いわく、ヨーグルトは新鮮なものを用い(乳清の浮いているものは不純品なのだそうだ)、それを食匙一杯にとり、注射筒に吸い取って膣の奥に注入するとのこと。注入のときには相当のスピードを与え、できるだけ子宮口のまわりにまで行き届くように送り込むべしとも書かれている。 記事は、このように締めくくられている。 このヨーグルト法は、夏ならば牛乳屋の配達する品を冷蔵庫に入れておき、まず就寝前に味い(原文ママ)、残りを用いればいいのですから、栄養を兼ねた、安価かつ簡単で奏功、避妊剤以上の一石二鳥式とみることができます。愛読者各位の実験報告を期待します。 滋養と避妊の両立。なんとすばらしい効能だろう。健康的なセックスライフを送りたい人、今までコーラばかり使ってた人、堕胎はもっぱらキックというギャスパー・ノエみたいな人はぜひこの「ヨーグルト避妊法」をお試しになってはいかがだろうか。 (ふじー) |