![]() 秘密基地っぽい施設外観 ![]() いろんなものを背負わされるカニ ![]() 館内で一番いい待遇のカメ |
湾岸にそびえる巨大な理科室名古屋港に近づくといやがおうでも目に入る巨大な銀色の球体、それが名古屋市民にエネルギーを供給する世界最大のガスタンク……ではなく、名古屋港水族館である。球状の構造物はIMAXシアターですね。 館内は順路に沿って「日本(伊勢湾)の海」「深海」「赤道の海」「オーストラリア」「南極」とテーマが分けられている。どのフロアもスペースを大きく取った、ゆとりのある設計。だが、いつ来ても思うのだが、この水族館はどうも展示が「理科実験くさい」のである。 例えばクロホシイシモチという魚の水槽の下にはハンドルがついていて、それを回すと水槽内に流れができる。客はこの水槽で「水流と魚の動きの関係」を観察できるというわけである。またマダコの水槽ではいろんな大きさの穴を開けた仕切りを入れて「どれくらいの狭さの穴をくぐれるでしょう」などとやってるし、モクズショイ(海藻などのゴミを自分の体にくっつけてカモフラージュするカニ)は毛糸やら台所用スポンジやらを水槽に入れられて、それらのカラフルなゴミを仕方なさそうにしょっている。確かに生態はよくわかるが、生き物たちにとってはいい迷惑というカンジである。ま、水族館に入れられてる時点ですでに迷惑なわけだが。 とはいえ、ここにはちょっと他では見られないような展示がいくつもあって楽しい。深海生物の水槽にいる「カイロウドウケツ」というカイメンの仲間は、話には聞いていたがはじめてここで実物を見た。この細長いカゴのような生き物の中には「カイロウドウケツエビ」という小さなエビが2匹(必ずつがいで!)棲んでおり、一生このカイロウドウケツから出ることがないという。まさに偕老同穴。 あと、特筆すべきはウミガメ水槽。ふつう水族館のカメというのは狭い水槽に他の魚といっしょに入れられてたり、浅くよどんだプールにたゆたってたり(なぜか必ず小銭を入れられる)するものなのだが、ここのカメは大型の回遊槽でゆったり泳いでいる。さらに階上に上がるとこの水槽の上部が開放されており、そこから砂を敷き詰めたスロープが延びている。これはカメが産卵できるように作られた人工の浜で、実際にここで生まれた小ガメが何匹も展示されていた。 イルカショーなどのエンターテイメントを排し(2001年に向けての改装ではショーも取り入れるかもしれないが)、学習施設としての水族館に徹したこの館は、これもひとつの見識と言えるだろう。IMAXシアターも見られるし。まあ、ただの画面のデカい記録映画なわけだが。 |