![]() イイ感じにうらぶれた館内 ![]() 粛々と泳ぐイカ ![]() 真のメインフィーチャー |
いつの話だ『君の名は』日本ちんこまんこ学会の取材で、佐渡島に行くことになった。そのついでに水族館があれば見ておこうと事前に調べたところ、島の北側の「揚島」というところにひとつあるという。 新潟のフェリーターミナルから高速船「ジェットフォイル」で60分。島に上陸したワタシは、さっそく案内所に「揚島の水族館へはどう行けばいいですか?」とたずねた。すると案内所の女性は、「佐渡島に水族館などない」ときっぱり断言。 だが、地方の小さな水族館では、地元の人がその存在をまったく知らないというのはよくあることだ。はたして実際に揚島まで行ってみたら、水族館はちゃんとあった。ただし非常に小規模で、どちらかというとメインは海中透視船(いわゆるグラスボート)であるらしい。 とりあえず船と水族館のセット入場券1000円也を買って、まず海中透視船に乗ることに。なにかのツアー客らしいおっさんグループに混じって、定員15人ほどの船に乗り込む。おっさんたちはもうリゾート気分で昼間っから全開で飲んでおり、熟柿臭い息が船内にたちこめる。 このあたりの海岸は波の浸食による切り立った崖が続き、なかなかの絶景である。ガラス張りの船底を通した海中にも佐渡のさかなたちが……と思ったが、あいにくその日は天候が悪く透明度は低かった。しかしちらりちらりとクロダイなどが顔を出すと、赤ら顔のおやじたちからどっと歓声が上がる。 15分ほどの遊覧を終え、いよいよ水族館へ。といっても、水族館は2階建ての小さな建物(ヘタすると入口の土産物屋より小さい)である。薄暗い館内にはイシダイやメバル、メジナといったご当地のさかなたちが水槽に入れられている。その様子は水族館というより「生け簀」に近い。 水槽の前には、ヒトデやウニ、アメフラシなどが入れられたタッチングプールもある。だがウニの入った水槽には 「ウニに触るときにはしずかに触らないと、とげが刺さることがあり、刺さると痛く化膿することがあります。(よく消毒したハリなどですぐに抜くと良い)」 という注意書きがあったりして客をビビらせる。そんなにアブナいなら触らせないほうがいいと思うが。 フロアの中ほどには、「全国でも珍しい」と大書されたイカの水槽がある。たしかに、イカを水槽内で飼うのは難しいとされている。だが他のさかなといっしょくたに入れられているところを見ると、やっぱり生け簀感が漂うのはいたしかたないところだ。イカもストレスのせいで体色が赤くなってたし。 2階に上がると、貝殻や標本、漁村で使用していた民具などが展示されている。だがそれらより大きく幅を利かせているものがあった。それは映画『君の名は』のパネルである。 なんでもこの地は『君の名は』のロケ地のひとつで、揚島としてはそのことを強烈にプッシュしているらしい。しかし『君の名は』なんてあなた、1953年の映画ですよ。いやたしかにパネルに写っている佐田啓二と岸恵子は若くてかっこいいけども。うーむ。 なにか、時間がある時点で止まっているような、そんな風情を感じる場所であった。 |