下関水族館

訪問日:19990304

からまってます。
ウツボ大混乱。
夜には来たくない。
なんだかコワい標本室。
デカいっす。
無闇に威容を誇る鯨館。

時間の止まったレトロ水族館


 おそらくは本州最西端の水族館、下関水族館。下関駅からバスで約20分のところにある、歴史ある施設である。
 第一印象はとにかく「古い水族館だなあ」ということ。照明も暗くタイル張りで、なんか銭湯みたいではある。さすが下関だけあってフグ類は充実しているが、どうにも生け簀っぽい。まあこれはワタシの食い意地が張っているからかもしれないが。
 巨大水槽やトンネル水槽などという今風の設備はまったくなく、中ぐらいの水槽で淡々と魚たちを見せていく。そんな中、びっくりしたのはウツボの水槽で、狭い水槽に50匹くらいをぶち込む豪快ぶり。入れすぎだよ。こんがらがってるよ。レッドテールキャットもデカいのを小さな水槽に入れてるもんだから、相対的に巨大感倍増。1.5メートルくらいの大ウナギもいた。
 階上は標本のフロアで、理科室特有のカビくさいにおいが立ちこめる中、剥製やホルマリン漬けなどが並べられている。池袋のサンシャインにあるものより大型と思えるリュウグウノツカイの標本もあって、傍らには「日本における人魚伝説のモデルはジュゴンではなくこちらである」という説が紹介されていた。ほんとか。
 さらに屋上から外へ出て、急な階段を上っていくと、巨大なクジラ型の建物が見えてくる。これは「鯨館」といって、クジラに関するウンチクや標本(またか)が展示されている。脳みそとか眼球とか乳首とか、いろんなパーツがあって面白い。映画版の『アキラ』をちょっと思い出す。あ、あと「耳くそ」もあったよ。
 ゴマフアザラシやトドなどの海獣は外のプールにいるのだが、プールが広すぎて姿を拝むには不便。動物にとってはいいんだろうけれど。アシカショーも観客席の前にプールが広がっているので、遠くて見づらい。
 全体的に、敷地は広いけれど展示は少ないので、どことなく茫洋とした感じがする施設ではある。むやみに歩かせるし。いかにも「昔の水族館」といったところか。しかしワタシとしては、そういう雰囲気は決して嫌いではない。隣にある遊園地から聞こえてくる「リボンの騎士」や「デビルマン」や「大ちゃん数え歌」といったBGMもあいまって、まるで時が止まっているかのような、のほほんとした感慨を受ける水族館であった。

 余談だが、下関に来たということで、ワタシは「本場」のふぐを食べに行くことにした。ガイドブックなどを調べてそれなりのグレードの店を選んだつもりだったのだが、正直言って値段(たしか3万円ほど払った。もちろんひとりで)ほどにはおいしくなかった。下関でふぐを食べたのは数回だけだが、いつも思うのは「下関はふぐ漁の本場ではあっても、ふぐ料理の本場ではないのではないか」ということだ。大阪や京都でなら同じ値段を払えばもっと洗練されたものが食べられるし、ずっと安い店を探してもそこそこのものが出てくる。ちょっともったいない出費をしてしまったなあ……と、翌日の下関駅の立ち食いうどん屋で「ふく天うどん」をすすりながら思ったワタシであった。あ、「ふく天うどん」はおいしかったっすよ。


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