![]() 圧倒的に多い軟体動物 ![]() 美術品のような標本群 ![]() 実験も公開 |
このストイシズムを見よ紀伊和歌山のリゾート地・白浜。この地に、観光客からはほとんど見向きもされないマニアックな水族館がある。通称・白浜水族館。正式な名称を「京都大学理学部附属瀬戸臨海実験所水族館」と言う。京都大学が研究目的で設立したものである。 その名の通りここは実験施設的な色彩が強く、ストイックさでは他の追随を許さない。イルカショーだの餌付けショーだのいうエンターテインメントは、もちろんあるはずもない。水族たちはただ淡々と系統分類に準拠し、「網(こう)」ごとに分けられて展示されている。 ここでの主役は、もっぱら無脊椎動物。多くの水槽にはルーペがついていて、イソギンチャクやサンゴのポリプなどを思うさま拡大して見ることができる。うれしいか。ワタシはうれしいからいいのだ。 この施設ならではなのは、館内にテーブルつきの椅子がいくつか用意されていること。スケッチや観察をするときに使ってくださいというわけである。 水槽には要所要所にボタンがあって、これを押すと解説アナウンスを聞くことができる。水槽の説明表示もていねいで(でもやはり論文調)、学習施設としての水族館に徹したきめ細かさが目を引く。むろん、デートスポットとしてはビタイチ使えない。なんか間違えて迷い込んだカップルがうんざりしてたが、ふふふ、いい気味だ。 他にも標本や実験水槽(水槽内での共生関係や、水族館の展示方法について研究しているらしい)などが続き、華やかさは最後までみじんもない。これだけ徹底して禁欲的だと、いっそカッコいいと言える。料金も500円とおトクだし、白浜へ行ったらアドベンチャーワールドより先にここを訪れることをおすすめする。 |