佐渡 羽茂まつり「つぶろさし」
報告者:藤井 浩
採集日:20010615
毎年6月15日、佐渡島の南西部に位置する羽茂(はもち)町では「羽茂まつり」という例祭がとりおこなわれる。その祭りのメインフィーチャーこそが、今回報告する「つぶろさし」である。
新潟県の無形文化財にも指定されているこの「つぶろさし」は、五穀豊穣を願って神社に奉納される神楽の一種である。羽茂まつりは菅原神社・草刈神社の二社で行われ、その様式は微妙に異なるが、大筋では「巨大な張り形を股間にはさんだ絶倫の男(つぶろさし)が、美しい女形(ササラスリ)に鼓舞されながら乱れ舞う」というもの。かつては奉納のため神社境内で舞われるのみだったが、最近では町中を踊り巡るようになったという。
土着的なナチュラル・バイブレーションを今に留める「つぶろさし」、その世界をここにレポートしよう。
菅原神社

羽茂町を流れる川のほど近く、木々に埋もれるようにして建つ菅原神社。まずはここで朝10時から「つぶろさし」が奉納されることになっている。
天候はあいにくの小雨模様(宮司によれば7年ぶりの雨)であったが、開始時間が近づくにつれカメラを手にしたギャラリーも増え、狭い境内を埋めてゆく。
人々の注目の中、踊り手の男たちが登場。この神社におけるメンバー構成は以下のとおり。
- つぶろさし(醜男の仮面をかぶり、男根の張り形を腰に携えた絶倫男性)
- ササラスリ(美しい女性を表す役。両手に「ササラ」という竹の棒を持ち、それをこすりあわせて踊る)
- 銭太鼓(顔をヴェールで覆い、手にタンバリンのような鳴り物を持った女役。不美人だが肉体美でつぶろさしを誘惑する役まわり)
- 獅子
- 囃し方(5人ほど)
やがて10時を告げる花火の音が町にとどろき、演者たちが「さあ、そろそろやるか」というような感じで動き出す。
ちんぽ抱えてつぶろさし登場

本殿に己がイチモツをアピール

背後からササラスリの誘惑が……

銭太鼓(中央)も鳴り物でリビドーを増幅

いよいよクライマックスへ


最後はみんなで記念撮影

演舞の時間はおよそ10分ほど。軽快な囃子をバックにして、大きな張り形をくいくいっとユーモラスに動かすつぶろさしの一挙手一投足にギャラリー(おばちゃん多し)の目も釘付けである。
つぶろさしやササラスリといった主要な演者には意外と若い青年が扮しており(原則としては家の長男だけが参加できるのだそうだ)、年配の人に立ち位置や動きを指導されながらの踊りであった。しかし、そのような若手に踊りが受け継がれているというのは素晴らしいことと言えよう。
神社での奉納が終わったあと、踊り手たちは石段を下りて町へと向かっていった。羽茂の町の角々で、つぶろさしの踊りはなおも続いてゆくのである。
ストリートでも俺たちはサカり続ける

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