勝手邦題 特別企画 2002年・夏

勝手邦題575

勝手邦題575

 世界で最もミニマムな文学、俳句。わずか17文字の限られた世界に、人は花鳥風月、森羅万象を詠み込んできた。
 今回の「勝手邦題」特別企画では、この格調高いわびさびの境地に迫ってみたいと思う。古今東西の映画の風景を、五七五のリズムに乗せて詠みあげるのだ。さあ同志諸君よ、筆を取れ! 句をヒネれ!

結 果 発 表

大 賞
  • フォレストガンプ→脳を病んで 阿呆は山野を 駆け巡る
    from ピンキィ君(「海の家」主宰)


  • オースティン・パワーズ→乳と尻 ちんこ金玉 馬鹿とハゲ
    from 末代までの恥


  • 佳 作
  • ファイヤーフォックス→考えろ 考えるんだ ロシア語で
    from まさひろ


  • インビジブル→消え際に ちんぽこぶらり ぶらりかな
    from ばほべん


  • ルパン三世 カリオストロの城→君の背な 触れず奪うは 心かな
    from 窓の外(「江戸川番外地」主宰)


  • セブン→こっパゲの ネタにマジレス ブラピ刑事<でか>
    from URE


  • 主宰賞
  • ブラックホークダウン→群集を 集めて殺し モガディシオ
    from オメガ575


  • ザ・フライ→撃ってやれ ハエが手をする 足をする
    from 素人うさぎ



  • 選 評

     今回も数多くの秀作が集まった勝手邦題特別企画。投票結果もその全体的なレベルの高さを反映し、いつにも増して票割れが激しかった。
     そんな中、22票を獲得して大賞の座を射止めたのは2作品。「フォレストガンプ→脳を病んで 阿呆は山野を 駆け巡る」は、芭蕉の名句を引用しつつも、「阿呆を出しときゃ感動作か」というアイロニーを漂わせる身もフタもなさが光る。
    「オースティン・パワーズ→乳と尻 ちんこ金玉 馬鹿とハゲ」も、身もフタもなさでは群を抜く秀句。17文字で作品世界のすべてを表せてしまうこの映画っていったい……。しかし「これだけあればあとはもう何もいらない」とも言えるかもしれない。
     佳作には投票の上位から4作を選んだ。「ファイヤーフォックス→考えろ 考えるんだ ロシア語で」は、作中の名(迷)シーンをそのまま五七五にまとめた作品。山田康夫の声で詠みたい。「インビジブル→消え際に ちんぽこぶらり ぶらりかな」は、まさに「わびさび」の一瞬をとらえた写生句として評価できる。「ルパン三世 カリオストロの城→君の背な 触れず奪うは 心かな」は、あの感動のラストシーンをきれいに詠み込んで好感がもてる。芥川隆行あたりの名調子で聞きたかったところだ。「セブン→こっパゲの ネタにマジレス ブラピ刑事<でか>」は、ブラピ刑事の(´・ω・`) ショボーンとした表情が目に浮かぶ。
     主宰が独断で選ぶ「主宰賞」には、2作品を挙げさせていただいた。「ブラックホークダウン→群集を 集めて殺し モガディシオ」は、ソマリアの虐殺シーンをさらりと名句のパロディに詠み上げたブラックさが秀逸。「最上川→モガディシオ」には座布団一枚差し上げたい。「ザ・フライ→撃ってやれ ハエが手をする 足をする」は、上五のみの最低限の変更で、映画のクライマックスを表現した技ありの作品。本編がもともとわびさびのある作品だっただけに、なお味わい深い。
     残念ながら選にもれた作品も、それぞれにすばらしい秀句ばかりであった。参加いただいた同士各位にあらためて御礼申し上げたい。


    ☆受賞された方には当サイトより「もらってもうれしいんだかなんだかよくわからない賞品」を贈呈いたしますので、メールにてご住所をお知らせください。

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    投票結果

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